2021年7月4日

Read the room は「空気を読め」と60パーセント同じ意味です


「空気を読め」に一番近い表現は read the room ですが、微妙な違いもあります。今回はこの言葉の語源と正しい使い方を例文とともにご紹介します。

もともとはプレゼンやスピーチの用語

The Free Dictionary によると read the room の定義は次の通り:

To use one's intuition to analyze the general mood of the people in a particular setting and act accordingly. Often used as an imperative.
直感で、特定の状況に集まった人々の一般的な気分を分析し、それに応じて行動すること。 多くの場合、命令文として使用されます。

これまでは不特定多数の人たちに話をする前に audience (聴衆、観客)の年齢層、性別、ノリなど読み取り、それに合わせて話の内容を調整する、という意味で使われました。

Public speaking (演説、スピーチ)の演者、コメディアン、セールスマンなどを対象に使われてきました。話す、演じる前に場の雰囲気を読むという意味です。

こちらは公演やプレゼンテーション前に場の雰囲気の読む方法をアドバイスする記事です:

 外部記事 
Knowing how to read between the lines and pick up on colleagues’ subtle social cues is a critical skill. After all, there’s often an explicit conversation happening in a meeting or around the water cooler — and a tacit one. The best way to take the temperature of a room is to pay attention to the people in it.

Room の意味


Room とは「部屋」ではなく「会場」という意味。ミュージシャンやコメディアンが言う「ハコ」に近いです。セールスマンや開発者たちはプレゼンを始める前に参加者を観察して、最も良い切り出しを考えます。ミュージシャンは曲の合間の banter(ライブのMC)の内容、コメディアンはネタを観客に合わせて話します。

例文


Read the room は演者に注意をうながす場合は命令文で使われます。また、演者自身が反省をする場合や演者を評価するときには能動態が多いです。
A. Come on! Why did you joke about nuclear bombs? Read the room.
B. You’re right. There were a lot of Japanese people in the audience and I should have read the room.
A. 何考えているんだ!なんで核爆弾のネタをやったのか?少しは気を回せ。
B. ごめん。たくさんの日本人が来ていたから、ネタに気を使うべきだったね。

The speaker noticed some of the older members of the audience was getting restless. He quickly changed the topic and talked about his memories of his grandparents in Sapporo. He is good at reading the room.
講演者は観客の年配者がそわそわし出したことに気づいたので、話題を変えて札幌の祖父母との思い出を始めた。場の雰囲気を読むのがうまいお方だ。

「空気を読む」との違い

「空気を読む」はどちらかというと、今いる場所の雰囲気に観察し、居合わせた人に不快な思いをさせないために振る舞い、自分を抑えるという印象があります。どちらかというと「受動的」な行為です。

Read the room はどちらかというと「能動的」で「戦略的」な行為だという印象があります。

Read the room は人のホームグランド的な場所(家、学校、職場など)の日常で使われることはあまりありません。普段いる場所は「会場」ではないし、一緒に過ごす人たちの傾向は概ねわかっているので read する必要がないからです。

普段の居場所が一時的に「会場」となったとき、例えば、
  • 家に沢山の人を招いてのパーティーをする、
  • 会社にクライアントを招いてのプレゼンテーション、
  • 学校で行われるイベントで発表者になる場合
には read the room を使っても問題はありません

家庭、職場や学校での日常では read social cues がおすすめですが、不適せな言動を注意するときは次のように言うことができます。
Be more considerate
もっと思いやりをもて。

That was  uncalled for
出過ぎたことを言うな。

今はそう言う(話をする)場ではない。 
ホームグラウンド的な場所で明らかに不適切な発言をしている人を手早く戒めるために read the room を比喩的に使うには問題ありませんが、普段使いの表現ではないことはご理解ください。
A. Bobby got fired from his job? That's great! He can come to Guam with us.
B. Hey, read the room. Bobby lost his dream job and he's in shock.
A. ボビーが仕事をクビになったって?それは良かった。俺たちと一緒にグアムに行けるね!
B. おい、空気を読めよ。ボビーは憧れてた仕事をクビになってショック状態なんだよ。
普段から read the room を頻繁に使う人は KY だと思われるかも?

こちらの記事も是非お読みください。

 関連記事 
「これは英語でどういうの?」と聞かれて、困ってしまった表現を集めました。「空気を読む」「微妙」「ドン引き」「何様?」など。

補足


この記事を書き始めたときは、一連の「スピーチ」に関するハウツーの記事にする予定でした。Twitter で read the room を含むいい例文のアイディアはないかと検索したら、英語のネイティブスピーカーの方が「『空気を読む』は英語で read the room だ」と投稿されていたので、「これはいかん!」と思い、今の内容の記事に変更しました。

子供の頃から日本語と英語を使い分けている私の中では双方が全く同じではないという認識があったので、英作文を書くときや、ネイティブスピーカといの会話で間違えたら困ったら大変と思いました。

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