日本人の「ギフト」や「プレゼント」の使い方が英語の意味とは少し違っています。英文で gift や present について書くときの注意点をご紹介します。
日本での「ギフト」と「プレゼント」の使われ方
数年前、翻訳のお仕事の際に気がついたのですが、日本での「ギフト」と「プレゼント」の使い方は独特です。
「ギフト」というのはお中元やお歳暮、お年賀に贈るハムやお酒など「
ご進物」で、「プレゼント」はかわいくラッピングされて誕生日やクリスマスのカジュアルな「贈り物」という風に使い分けられているようです。
とあるショップの依頼で
フライヤーを英訳したときのこと。「お客様へのプレゼント」をという表現をひとまず直訳で a present to our customers と書いてみた所、
「これは違う!」と違和感を覚えました。年末の急ぎのご依頼だったので、この違和感の原因を調べる時間もなく、依頼主の方に「ここは present よりも gift の方が自然です」と説明ましたが、present の方が良いというお返事をいただきました。
今回は present と gift の違いをご説明いたします。
Google で検索した所、圧倒的に"a gift to our customers" が多く使われていました。
クリスマスプレゼント?それともクリスマスギフト?
「クリスマスプレゼント」と「クリスマスギフト」。どちらが多く使われているでしょうか?
「お母さんからのクリスマスプレゼント」の英語表現を Present と gift の両方で Google 検索してみました。
Christmas gift の方が圧倒的に多いのはちょっと意外ですよね。「クリスマスの贈り物は全てプレゼントではないの?」と思われる方は少なくないでしょう。
Gift と present の違い
Gift と present の違いは present の言葉の意味を考えるとわかります。
動詞の
present には「差し出す」という意味があります。
Merriam-Webster Dictionary では名詞の
present の定義は
:something presented :gift
:提供されたもの:ギフト
となっています。
つまり、present というのは「
手渡し」という意味合いが強いのです。お誕生日の贈り物も、クリスマスに交換する贈り物も、その場で手渡しするからプレゼントというのです。郵送する送り物は gift となります。
また present の「現在」という意味も無関係ではありません。「
今この場で渡すのがプレセントである」、という考え方もあります。
贈り物自体はどんな場合でも gift と呼ぶことができます。
というか、全ての gift のごく一部が present なのです。
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あくまでもイメージです |
しかも、お中元やお年賀のように
手渡しする贈り物は present と呼ぶことができます。(もちろん郵送する場合は gift ですが。)
ネット上の説明
この記事の下調べのため、Google で
Difference between gift and present (ギフトとプレセントの違い)と検索していろいろな記事を読んでみました。興味深いと思った記事をご紹介します。
「無料ギフト」とは言わない
専門家やネイティブスピーカーに英語について質問できる
English Language and Usage というサイトにはこんな
おもしろい説明がありました。
One difference is that we use birthday gift or birthday present but we only use free gift and not free present.
(Gift と presentの)違いは、「誕生日ギフト」や「誕生日プレゼント」と言い方はありますが、「無料ギフト」はあっても、「無料プレゼント」とはいいません。
ですから、テレビの「視聴者プレゼント」や雑誌の「読者プレゼント」は「視聴者ギフト」や「読者ギフト」の方が正しいのです。
「プレゼント」には「親密」というニュアンスが
Quora には
Lee Ballentine という作家の方が
こんな説明がています。
A “present” suggests, though it does not absolutely demand, a kind of intimacy between the offerer and the recipient.
「プレゼント」には(必ずしもではありませんが)贈る側と受け取る側の間にある程度の親密感の意味合いがあります。。
A “gift” is a broader category.
「ギフト」はもっと幅広いカテゴリーなのです。
Mental Floss という人気の雑学サイトでは、プレゼントという言葉の使用頻度が少ないという説明の後に、
こう結んでいます。
Still, according to my personal sense of the words, present—though it may not be as common—is more casual sounding than gift. I expect a child to ask Santa for lots and lots of presents, not many, many gifts.
ただ、私の個人的な感覚ではありますが、使われる頻度こそ少なくても、「プレゼント」という単語には、「ギフト」に比べてカジュアルな印象があります。子供たちは、サンタさんに「たくさんのギフト」ではなく、「たくさんのプレゼント」をお願いするように。
まとめ
説明が多すぎて、かえって分かりにくくなったかもしれませんので、まとめを書きます。この記事で伝えたかったのは:
- Gift は「贈り物」全てに使えることば。
- Gift の方が present よりも頻繁に使われる。
- 企業などからの「無料プレゼント」は free gift。
- Present はその場で渡す贈り物のこと。郵送すると gift と呼ぶ。
- 子供にとっては全ての贈り物が present。
- Present には「親密さ」のニュアンスがある。
最後に、日本での「ギフト」と「プレゼント」の使い方は定着しているので変える必要はないでsh。ただ、英文を書く時は正しく使い分けた方が正しく伝わります。
Photo by
Porapak Apichodilok
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