「ハード面」「ソフト面」ということばは便利ですが、海外にとってはまだまだわかりにくい和製英語です。今回はこれらに近い英語の表現をご紹介します。
ソフト面、ハード面とは?
私はフリーで翻訳のお仕事をいただくことがあります。企業様から頂く翻訳依頼をで一番困った表現は「ハード面」「ソフト面」という表現でした。英語ではこういう表現をしないので、この二つの表現を訳すのに丸一日かかることもありました。
ハード面、ソフト面という言い方を英語でしないと
以前の記事で書きました。英語ではパソコンの機器のことを、もともとは金物類や鉄器類という意味の
hardwareと呼び、目に見えないプログラムや
オペレーティング・システムのことを造語の
software という名前をつけました。
英語では hardware も software も2
音節の単語なので省略する必要はありません。しかし日本語ではそれぞれ4音と5音節と長いのでハード、ソフトと省略されるようになりました。
ハードウェア、ソフトウェア音節数の違い
英語 | カタカナ |
hard-ware | 2音節 | ハー-ド-ウェ-ア | 4音節 |
soft-ware | 2音節 | ソ-フ-ト-ウェ-ア | 5音節 |
やがて、まちづくりや教育などの文章に、建物や道路といった「ハード面」や、歴史文化などの「ソフト面」が使われるようになりました。
とても分かりやすい表現ですが、英語ではまだこのような使い方をしていません。ただ、英語も進化しているので、将来的にこのような表現を取り入れる可能性がゼロではありません。
逆に日本でコンピューターに関係ない事柄には、ハードやソフトよりも有形、無形と表現した方が伝わりやすいのでは、と私は思います。
有形、無形なものと言えば?
最近経済関連の調べ物をしていた時にとても近い表現をみつけました。それは、
tangible (有形)と
intangible (無形)です。どちらも、資産や歴史遺産などを修飾するときに用いられる形容詞です。
もしや、tangible や intangible が日本の「ソフト面」「ハード面」と同じような使われ方いるのでは?と思いました。ネットで調べてみたら、ありました。その中のいくつかの記事のリンクをこの記事の最後に貼ってあるので、興味がある方はお読みになってみてください。
「ハード面」「ソフト面」な表現を英語で
ありがちな「ハード面」「ソフト面」を含む表現をtangible, intangible を使って訳してみました。:
都市づくりには
ハードとソフトの両面の充実が重要です。
The enhancement of both tangible and intangible elements are essential in urban development.
「バリアフリー」とは
ソフト面(人々の意識)や
ハード面(設備)の
障害を取り払い、障害のある人もできるだけ不便なく暮らせる世の中を可能にします。
By removing the
intangible barriers (biases of people) and
tangible barriers (architectural) a truly barrier-free world for the disabled can be made possible.
サービスや商品についてではなく、
ソフト面やハード面について語らなければならない。
Instead of speaking of services and goods, we should speak of
intangibles and tangibles. -
Harvard Business Review
例文はやたらと長いですが、実際ネットで調べても、日本語で「ソフト面」「ハード面」という言葉が出てくるのは教育、政治、法律関連の「小難しい」サイトが多かったです。
日常会話ではあまり出てこない表現ですね。
これはソフト麺。
参考にしたサイト:
AZ Central -
What Are the Intangible Parts of a Brand?
LEARNING CENTRE OF MARKETING -
Tangible and Intangible components of Product
Harvard Business Review -
Marketing Intangible Products and Product Intangibles
Wikipedia -
まちづくり
Photo source:
Kaboompics
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