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2020/05/24 最近になって気づいたのですが、皆さんが never が過去形で使われることに疑問を抱くのは、never が 現在完了形でしか使うことができないと思われているからなのではないでしょうか?もうそうでしたら、この記事をお読みください:
メロディーに合わせての翻訳の難しさ
英語の曲に日本語の歌詞をつけるときには対訳にすることはなかなか出来ません。The cold never bothered me anyway. は音の数(音節)が10ありますが、「もともと寒さはきにならないの」は15音節あるので、意訳で歌うと、字余りになります。そこで、日本語の歌詞では英語の曲の世界観を違う歌詞で表現するのです。
日本語歌詞の「少しも寒くないわ」は原曲の The cold never bothered me anyway. を訳したものではありません。本当の意味の「もともと寒さは気にならない」だと字余りになるので、その2小節ぴったりはまる「少しも寒くないわ」が選ばれたのです。
(私は昨日、最初にこの記事を書いた時は、読者の疑問を誤解して書いたので、ここまではを書き直しました。)
意訳と翻訳の違い
多くの場合、直訳で十分通じます。
私は生徒です。⇒ I am a student.
しかし、そうは行かない表現もあります。
Good morning. ⇒ ❍おはようございます。×良い朝です。
How are you? ⇒ ❍お元気ですか? ×あなたはどうですか?
Happy New Year ⇒ ❍あけましておめでとうございます。 ×嬉しくて新しい年(を)
逆に日本語を英語にすると:
おはようございます。 ⇒ ❍Good morning. ×It is very early.
お元気ですか? ⇒ ❍How are you? ×Are you well?
あけましておめでとうざいます。 ⇒ ❍Happy New Year. ×Congratulations on the opening.
直訳するとかえってわかりにくい場合もあるので、そういう時には意訳をします。英語の表現と同じシチュエーションで使う日本語の表現を見つける、ということです。それは時に英語の原型を留めなかったり、時制が変化したり、能動態が受動態に変わることもあります。大切なのは読んでいるにわかりやすく伝えるということです。
Let It Go の字幕の歌詞を読むと、今まで主人公は人の目を気にして、いつも優等生に見られたくて、自分を押し殺していたました。なんらかの事件が起きて、もうそういことができなくなり、現状を受け止めること決めました。古い考え方や今までのこだわりや不安を捨て去ろう(let it go)と自分に言い聞かせます。
タイトルがFrozenであることと、動画の風景から察すると、この映画で「寒さ」というのは重要な意味を持つ言葉です。「寒さ」に立ち向かうことを決心した彼女の一言が "The cold never bothered me anyway." です。これを単に「寒さはきにならなかった…」と過去形で訳すと、「…しかし、今は気になる」と可能性を含みます。
彼女は「もともと寒さは気にならなかったし、これからも気にならない」と言いたいのだと理解したので、「もともと寒さは気にならないの」と訳しました。そうすることによって歌詞全体がまとまりがあります。(まだ映画を見ていないので、主人公の名前も、ストーリーもはっきりとはわかりませんが。)
なぜ The cold never bothered me anyway. ではないのか?
なぜ完了形ではなく過去形かという疑問への回答
映画の字幕には文字数の制限があるので、現在と過去の状況を短めに表現できるのが 「もともと寒さは気にならないの」でした。私が字幕を訳す手法で表現したので、混乱が生じたかもしれません。
翻訳というのは作者の意図をできるだけわかりやく伝えるお仕事です。暗号みたいな日本語に訳しても、翻訳者の責任を果たしていません。一つ一つの単語を訳して、同じ自制に直訳するだけでは伝わらないこともあります。そういう訳し方はもう捨て去り、意訳をめざしてくさい。
Photo by Kristin Vogt
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コメント
botherが過去形な理由、スッキリしました!ありがとうございます!(ちなみにその部分の和訳、映画では「少しも寒くないわ」になっているかと思われます。子ども達が盛んにそう歌っているので…)
返信削除コメントありがとうございます。歌詞は訂正しておきました。
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