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2024年6月20日

Had better は better とは限らない

You'd better not. 
A young woman dressed in black pointing threateningly at the camera.
Had better は忠告や脅しに使われる助動詞句だということをご存知でしょうか?Had better の better は「より良い」という意味ではありません。イディオムは分解せずにフルセットで理解しましょう。

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Should、have to、must は動詞の原形に「~しなければ」という意味を持たせる助動詞です。これらをうまく使い分ければ、自分にとってその事柄がどれだけ重要なのかを表現することができます。また、had better はこれらの助動詞とは別な意味があるので気をつけましょう。

Had better の用法と定義


助動詞句 had better は他に 'd better や better のみの形で使われます。
It is getting late. You had better finish up here and go home.
もう遅くなってきた。ここで終わらせて家に帰ったほうがいい。

You'd better not cry. You’re the one who wanted climb this hill.
(今更)泣くなよ。この丘を登りたいって言ったのはそっちだろ。

A. I'll return your book tomorrow, OK?
B. You'd better. It was very expensive.
A. 明日君の本を返すからね。
B. 絶対に返せよ。とても高かったんだから。
※3つ目の例文の you'd better は return the book (本を返す)の部分が「以下同文」的に省略されています。英語ではオオム返しを嫌うので前者が入った部分を省略する習慣があります。

Had better の定義


Cambridge Dictionary は had better をこう説明しています。

Had better is a strong expression. We use it if we think there will be negative results if someone does not do what is desired or suggested
「Had better」は強い表現です。相手が望んでいることや提案されたことをしないと悪い結果になると思うときに使います。

ウィクショナリーの日本語版で had better
  1. 「(特定の状況下における忠告や意見表明) ~した方がいい
  2. (一種の脅迫) ~しないと大変なことになる、~せよ。
と定義づけしています。ここでの better は「より良い」よりも「の方が身のため」という意味合いが強いです。

イディオムや慣用句は分解してはいけない


Had better の better を「より良い」と解釈して「したほうがいい」と訳すのは間違いです。Idiom は分解せずにフルセットで理解しなければなります。

日本語のイディオムも同じです。「顔が広い」の「広い」に着目して「顔が大きい」と解釈すると正しい意味はぜったいに理解できません。「足を洗う」が清潔感とは関係ないことも然り。

私が ALT をしていた頃、had better を法助動詞 should, must, have to と一緒に分類して教える先生が何人かいらっしゃいましたが、had better には「脅し」や「忠告」のニュアンスがあることも説明していただきたいと強く思います。


「サンタが街にやってくる」の原曲と日本語版の違い


「サンタが街にやってくる」の原曲 Santa Claus is Coming to Town は子どもたちに「おりこうにしないとサンタさんがプレゼントを持って来てくれない」という内容です。忠告の better ~が何度か使われています。

子供の頃、私は日本語バージョンの方が好きだ、と思ったものです。日本語版を「作詞」された新田宣夫さんは子どもたちの夢を壊さないように英語に忠実に訳さかったのか、と想像します。(下記の日本語訳は私です)

原曲 日本語訳
You better watch out
You better not cry
You better not pout
I'm telling you why, 
Santa Claus is coming to town
He's making a list
He's checking it twice
He's going to find out
Who's naughty and nice, 
Santa Claus is coming to town
気をつけて
 泣いてはだめ
スネてはだめ
なぜだかわかる?
サンタクロースが来るから
(サンタは)名簿を作って
二度確認する
誰が悪い子で 誰が良い子かわかるように
サンタクロースが街にやって来る
この曲はテーマ的には日本の「お正月」(♪もういくつ寝るとお正月~♪)に似ているのに、喜びの要素が欠如していることが興味深いです。

参考にしたページ:

Photo by cottonbro studio 

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